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奨学金にはどんな種類があるの? -奨学金制度のキホン-

コラム
2022.05.29

いまや大学生の2人に1人は利用しているという「奨学金制度」。シンプルに言えば “勉強をするためのお金をサポートしてもらえる制度” ですが、それだけだと思っている方は要注意!学生さんにとってあまりピンとこないほど多額のお金が動くので、知識を持たずに利用してしまうと後々大変な思いをする可能性があります。奨学金制度を利用したことを後悔せずに、自分のやりたいことが叶えられるよう、基礎的な知識は必ず押さえておきましょう。

知っているようで意外と知らない奨学金制度について、『奨学金制度のキホン』と題したシリーズでわかりやすく解説していきます。

今回は「奨学金にはどんな種類があるの?」をテーマにお送りします!

POINT

 

✔️ 返済の有無で分けると「給付型」「貸与型」

✔️ 「稼ぐ」奨学金もある

✔️ 採用方法にも種類がある

✔️ 「国内進学」で使えるものと「海外進学」で使えるものがある

 

奨学金の種類とは

経済的に余裕がなく、勉強をするお金が必要な学生さんに向けて学費などの就学支援をするのが「奨学金制度」です。

学ぶことに意欲ある学生さんがお金を理由に進学を諦めてしまわないよう、国や地方自治体、大学、民間団体などが制度をつくり、毎年「奨学生」として援助を受けたい希望者を募集しています。

希望者として応募できる人については下記の記事をお読みください▼

令和元年度、国内には8,834制度の奨学金制度があり、454,244人の学生さんが、奨学金で勉強を続けています。(参考:日本学生支援機構「令和元年度奨学事業に関する実態調査」)

大学(昼間部)での奨学金利用率は49.6%で、大学生の2人に1人が奨学金で大学に通っている状況です。(参考:日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査」)

とても身近な制度となっている奨学金ですが、過去には国内の奨学金の多くが「卒業後に返さなければならないお金」であったため、「奨学金=借金」というひとつのイメージが世間に広がっています。

しかし、実際はそうではありません。

奨学金制度は見方によって、さまざまな種類に分けることができます。卒業後に返さなければならないものも確かにありますが、「返さなくていいもの」や「在学しながら稼いでいくもの」もあります。学生さんや保護者の方はイメージにとらわれず、自分にあった奨学金を選ぶのが大切です。

それでは早速、奨学金の種類を見ていきましょう!

大きく分けると3種類!

奨学金には「貸与型」「給付型」そして「稼ぐ型」の3種類があります。

① 貸与型

「貸与型奨学金」もしくは「貸与奨学金」と呼ばれる奨学金は、制度を実施している団体からお金を借りて勉強をしていくタイプです。

借りる、ということですので、在学中は返済する必要はありませんが、卒業後に必ず返さなければなりません。

貸付利息がつくもの(有利子)と、利息がつかないもの(無利子)の2種類に分かれます。

有利子の場合は在学中に借りた額よりも大きな金額を返さなければならないため、無利子の貸与型奨学金が好まれています。ただし、人気なぶん選考条件が比較的厳しいことから、多くの学生さんは有利子を選択しています。

貸与型を選択するときは「貸与額」に注意して、返せない金額は借りないようにしましょう。

また、貸与されたお金は在学中に必要以上に使いすぎず、卒業後の生活もふまえた計画を立てたうえで使っていくのがおすすめです。

<貸与型のメリット>

  • 実施している団体が多い
  • 比較的採用されやすい
  • 在学中は返済しなくていい など。

<貸与型のデメリット>

  • 連帯保証人と保証人が必要
  • 将来自分がどうなるか分からないので、返済に不安が生じる
  • 有利子だと返済金額が増える
  • 返済できないと個人信用情報機関に登録されてしまう など。

② 給付型

「給付型奨学金」もしくは「給付奨学金」と呼ばれるこのタイプは、貸与型と違って返さなくてもいい奨学金です。

支給されたお金は100%もらえるので、将来の返済を気にせず、安心して学生生活を送ることができます。

非常に魅力的な制度のため応募者が多く、競争率は高め。審査も厳しいので、応募したのに採用されなかったということは残念ながらよくあります。

過去には国内の奨学金で給付型を採用している団体は少なかったものの、近年は少しずつ増加の兆しがあります。

日本で最も知名度の高い奨学金制度を実施している日本学生支援機構は、2016年まで「貸与型のみ」でしたが、2017年に給付型を導入しています。さらに、2020年4月には給付型奨学金へ「入学金や授業料の減額・免除」を追加し、給付奨学金をもらえる人数と金額を増やしました。

そのほか、寄付や事業をもとに、個人で給付型奨学金を設立されている方もいます。

今後、給付型奨学金の選択肢はますます広がっていくかもしれません。

<給付型のメリット>

  • 返済の必要がなく、将来の不安が減る
  • 継続して給付されるには高成績の維持が必要なので、必然的に成績があがる など。

<給付型のデメリット>

  • 受給資格が厳しいことが多い
  • 貸与型に比べて1制度の採用人数が少ない
  • 希望する学生が多く、競争率が高い など。

③ 稼ぐ型

貸与型も給付型も団体からお金を振り込んでもらうタイプですが、「学生さんが自分で稼ぐ」タイプの奨学金もあります。

それが、新聞社主催の「新聞奨学金」です。

新聞奨学金では、学生さんが大手新聞社の系列の新聞販売店で配達や集金、チラシの折り込みなどの業務をする代わりに、新聞社が学費の一部もしくは全額を支給します。

奨学金部分は返さなくてもいい場合と、返済が必要な場合があります。決められた年数勤め上げると、返済が免除になるケースが多いようです。

働いているので奨学金のほかに「給与」も別途支払われ、生活費に充てられます。

また、制度によっては寮などの住居や食事の提供、通学定期の補助などのサポートがあり、ひとり暮らしの環境をある程度まかなうことも可能です。

朝刊のみ、朝刊/夕刊、集金義務あり・なし、などいくつかコースを用意しているところがほとんどなので、学生さんが自分のペースや都合を考えて選ぶことができます。

<メリット>

  • 奨学金+給与が支払われる
  • 生活環境をサポートしてくれることもある
  • 勤務時間が決まっているので生活リズムが整う
  • 自分の力で進学しているという自信がつく など。

<デメリット>

  • 朝刊の場合、朝3時から業務がある
  • 学業との両立は学生に委ねられる
  • 原付バイクの免許が必要なこともある
  • 途中でやめると、奨学金を一括返済しなければならない など。

採用方法にも2種類ある

奨学金の採用方法にも種類があります。

① 予約採用

“中学3年生が高校生になる前”や“高校3年生が大学生になる前”など、上の学校へ進学する前に申し込み、入学後に利用をスタートする「予約採用」という形式をとる奨学金制度があります。

“高校→大学”で予約採用を伴う奨学金は「入試前予約型奨学金」とも呼ばれています。

進学前に奨学金の利用が保証されるため、学生さんは安心して進学の準備を進められます。

また、予約採用は入学後に手続きをして初めてお金が振り込まれます。手続きをしなければ自動的にキャンセルされ、振り込まれることはありません。

進路先に関わらず申請できるのが大きなメリットです。

「私立の進学も考えていたけれど、国公立に合格したので奨学金は必要なくなった」という場合や「ギリギリまで迷っていたものの、事情によって進学しないことにした」場合も取り消しは簡単なので、迷っている方はとりあえず予約採用に申し込んでおくという手もあります。

<メリット>

  • 進路先に関わらず申請できる
  • 予約採用が無理だった時は在学採用にチャレンジできるため、奨学生になれるチャンスが増える
  • 日本学生支援機構の予約採用は2回募集があり、1回が落ちても再挑戦できる(在学採用も含めれば3回のチャンス)
  • 入学後、初回の振り込みが早い
  • 状況によって取り消しや内容の変更も可能 など。

<デメリット>

  • 早い段階で手続きをする必要がある
  • 進学前の最高学年ではないと応募できない など。

② 在学採用

入学後や在学中に応募する奨学金です。予約採用で審査に通らなかった方も、再度応募することができます。

<メリット>

  • 国公立志望で奨学金の利用予定がなかったものの、入試の結果、私立に通うことになったという学生さんに役立つ
  • 予約採用の応募条件よりも緩和されていることがある など。

<デメリット>

  • 初回の振り込みが遅い
  • 日本学生支援機構の在学採用は、進学先によって募集人数に差がある など。

海外進学専用の奨学金も

国内で進学する方だけでなく、海外の学校へ進学を検討している方用の奨学金制度もあります。長期・短期留学に使える奨学金や、プログラムとしてサポートするものもあります。

まとめ

奨学金は経済的に困難がありながらも学びたい意欲を持つ学生にとって、非常に助かる制度です。

自分に適切な種類の奨学金を選び、学生生活を有意義なものにしてくださいね。