奨学金制度とは?①どんな種類があるのか教えます!
知っているようで意外と知らない奨学金制度について、『奨学金制度のキホン』と題したシリーズでわかりやすく解説していきます。
今回は「だれが奨学金を利用できるの?」をテーマにお送りします!
POINT
✔️ 小学生〜社会人まで利用できる
✔️ 浪人生や中卒の方もOK!
✔️ 一般大学ではなくてもOK!
✔️ 場合によっては利用できない人も
奨学金は、奨学生となった方が勉強に励むことを支援するために、国や自治体、大学、企業、NPOなど民間団体が提供するお金です。
さまざまな事情で家計が厳しく、授業料やその他の費用を払うことが難しいものの、学ぶ意欲の高い優秀な学生さんが、奨学金を利用することができます。
「高校生が大学へ進学する際に利用する」というケースがほとんどですが、学びのために用意されるお金なので、小学生〜社会人まで、幅広い人を対象にしています。
例えば「公益信託 カトリック・マリア会・セント・ジョセフ奨学育英基金」は小学生・中学生・高校生を対象に給付型の奨学金を提供しています。
「日本人大学院生奨学金」は、博士課程は35歳以下、修士課程は30歳以下などの制限はありますが、社会人も申請できます。
つまり、小学生も中学生も、高校生も大学生も、そして社会人も、奨学金を利用できると言えるでしょう。
もちろん、すべての奨学金が誰でも応募可能なわけでは有りません。
学年が決まっていたり、学生でも年齢制限があったり、特定の学校に所属している人、特定の学校に進学予定の人のみなど、制度ごとに応募条件は異なります。
奨学金は基本的に「学生」が対象で、「予約採用」など在学校経由で申し込む種類もあります。
奨学金の種類や申し込みについては下記の記事も参考にしてください▼
それでは学校を卒業してしまった“浪人生”だと、奨学金は利用できないのでしょうか?
結論としては、浪人生でも奨学金を利用できます。
ただし、「予約採用の奨学金」と「給付型奨学金」は状況によって利用できません。
日本学生支援機構の場合、予約採用は申し込み時点で「卒業をしてから2年以内」の浪人生であれば、募集時に応募可能です。在籍していた高校にお問い合わせをし、高校経由で手続きをしてください。3浪以上になると予約採用は利用できなくなります。
日本学生支援機構の給付型奨学金(在学採用)も同様で、2浪までならOKですが、3浪以上は申し込み資格がなくなります。
日本学生支援機構の奨学金で浪人生でも制限なく利用可能なのは、在学採用の貸与型奨学金(第一種と第二種)です。
各大学が独自に行なっている「入試前予約型奨学金」は、ほとんどのケースで“募集年度の3月に卒業見込みの者”という条件があり、浪人生が応募するのは難しいでしょう。
とはいえ、愛知大学の「知を愛する奨学金(愛知大学入試前予約採用給付奨学金)」は“3月卒業見込みの者またはその前年度に卒業した者”と、1浪までは可能なようです。
まずは志望大学の募集要項を確認してみましょう。
短期大学や専門学校に通いたい人は奨学金を使えるのでしょうか?
もちろん、短期大学も専門学校でも奨学金を使って勉強することができます。
志望先の大学ホームページで確認したり、お問い合わせをしてみてください。
美大や芸大などへの進学したい人も奨学金は使えます。
芸術系の大学は一般大学より学費が高く、画材などの消耗品費や実習費などがかかり、できるだけ費用を抑えたい方もいるはずです。
一般的な奨学金制度を利用できますし、学校独自の奨学金や特待生制度が用意されているのでそちらを使う手もあります。
通信制の高校や大学は通学制よりも費用が安く、経済的に進学が厳しい方や、仕事と両立して学びなおしたい社会人に人気です。
通信制の大学でも、奨学金は利用できます。
日本学生支援機構の場合、給付型と貸与型、どちらも利用可能です。給付型の予約採用は進学先が決まっていない人も申請できるので、通信制に進学予定の方ももちろんOKです。給付額は通学制の大学に比べて少額になります。
日本学生支援機構は通信制でも問題ありませんが、通学制の学校のみ対象にしている制度もあります。気になる奨学金を見つけたら必ず応募条件を確認しましょう。
さまざまな事情で高校に通えなかったり、高校を中退した人が、専門学校や大学へ進学したい場合、奨学金は利用できるのでしょうか?
結論としては、利用できます!
通常、高校を卒業していない方(中卒の方)は「高等専修学校」へ進学するか、「高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)」を受けて大学や専門学校を受験することになると思います。
高等専修学校へは日本学生支援機構が貸与奨学金を提供しており、登録校を一覧にまとめています。中卒の方がこちらに登録されている学校に進学する際、日本学生支援機構の貸与奨学金が使えます。
修業年限 3 年以上の高等専修学校(高等課程)を卒業したり、高卒認定に合格して大学や専門学校を受験する資格を得た方は、大学や専門学校などの進学へ奨学金を使えます。
日本学生支援機構の奨学金は、給付型・貸与型、条件が合えばすべて申請可能です。
例えば給付型奨学金の予約採用を申請する場合、高卒認定に合格した人は日本学生支援機構に直接申し込みを行います。
上記のどちらにも該当していることが条件です。
1で「5年を経過した人」であっても、経過後から認定試験合格までの間、引き続き進学後の学修意欲をもって毎年度高卒認定試験を受けていれば対象になります。
2については、高卒認定試験の合格点を得た人が18歳に達していないときは、その人は、18歳に達した日の翌日から認定試験合格者となります。
修業年限 3 年以上の高等専修学校(高等課程)を卒業した人は、日本学生支援に直接申し込むのではなく、在籍する学校に問い合わせて手続きをします。
卒業後に必ず返済の義務がある貸与型奨学金を利用する場合、「連帯保証人」や「保証人」を立てなければなりません。
「連帯保証人」とは、お金を借りた人が当初の契約どおりに返済することができなくなったとき、代わりに返済する義務を負う人のことです。連帯保証人にない催告・検索の抗弁権がある人は「保証人」と区別されています。
通常、連帯保証人は「父母またはこれに代わる人」、保証人は「4親等以内の親族で本人及び連帯保証人と別生計の人」とされています。
しかし、さまざまな事情で連帯保証人や保証人がいない、という方もいるかもしれません。
その場合は「機関保証」に対応している奨学金であれば申し込めます。
機関保証とは、一定の保証料の支払いと引き換えに、借りた本人が期日までに返済できなかった場合、代わりに指定の機関が支払いを行うものです。日本学生支援機構では公益財団法人日本国際教育支援協会が連帯保証を担当し、申し込みの際に両親や親族「人的保証」か「機関保証」を選べます。
機関保証を選択し、機関による返済が行われた場合、あとから本人に未返済額や延滞金などを一括請求するので、払わなくてもよくなるものでは決してありません。
つまり、保証人がいなくても奨学金を借りられないわけではありませんが、「自分で返す」ことを前提に覚悟した上で、奨学金は利用しましょう。
各制度の応募条件によるものの、基本的に奨学金はさまざまな人が利用できることがわかりましたね。
では、「奨学金を使えない人」は存在するのでしょうか?
そもそも奨学金はお金がなくて進学が難しい学生さんのためのものなので、応募資格に「所得制限」があり、世帯収入が多い方は使えないことがほとんどです。
ただし「所得制限のない奨学金」であれば、親の収入が多い家庭の学生さんでも申し込みはできます。
例として「公益財団法人キーエンス財団 給付型奨学金」は、返済不要の奨学金でありながら、所得制限がなく、20歳以下で国内の4年制大学に進学する方であれば誰でも応募ができます。
とはいえ、申請書類には「所得・課税証明書又は非課税証明書・住民税決定証明等の原本」の添付が必要であり、「経済的な支援を必要とする者」という奨学金の基本事項が応募要項に書かれています。
特別なことがない限り、収入の多い方が奨学金を利用できる可能性は低いと考えられます。
奨学金は優秀な学生を対象に支援するため、応募書類の審査時に学力状況をチェックすることがほとんどです。
成績が著しく悪かったり、応募資格にある学力基準に満たない学生さんは、書類の申請はできても審査に通らず、奨学金の利用は難しい可能があります。
貸与型奨学金の場合に必要な連帯保証人や保証人は、個人信用情報機関に登録されている信用情報をもとに審査されます。万が一、本人が払えなくなったときに代わりに払える能力があるか、確認するためです。
連帯保証人や保証人となる親や親族がブラックリストに載っていることが判明すると、支払い能力が低いとみなされて審査に通らず、奨学金を借りられません。
日本学生支援機構は「全国銀行個人信用情報センター(以下、KSC)」に情報を照会します。KSCでは、任意整理・個人再生・代位弁済は完済後5年を超えない期間、自己破産は官報に載ってから10年を超えない期間登録されます。
不安な方は、全国銀行協会へ確認すると良いでしょう。
奨学金は学生さんであればほとんど利用できますが、制度によって条件が異なるため、必ず申込要項を確認してください。
「奨学金を申し込んだけど審査に落ちてしまった!」という場合にも、別の手段で学費などをまかなえる可能性はあります。
今後の記事で紹介していくので、諦めずにチェックしてくださいね。