奨学金制度とは?①どんな種類があるのか教えます!
「奨学金」といえば、大学や短期大学、専門学校などの進学の際にはじめて考える方も多いはず。しかし、奨学金は大学生用だけのものではありません。
今回は大学進学での利用も含め、「高校生が申し込める奨学金」について紹介していきます!
POINT
✔️ 高校生は「在学中に使える奨学金」と「大学進学のために使える奨学金」に申し込める
✔️ 返済不要の給付型奨学金が多い!
そもそも奨学金は、「家庭の事情などにより経済的な余裕がなく、進学にお金が必要な学生に向けて学費の付与や貸与を行う制度」のこと。大学進学のためのものとは限らないので、小学生・中学生から利用できる奨学金も存在します。
奨学金の種類についてはこちらの記事も参考にしてください▼
それでは、高校生が申し込める奨学金にはどのようなものがあるのでしょうか。
文部科学省の「平成30年度子どもの学習費調査」によれば、1年間の私立高校と公立高校の学費は、私立高校が96万9,111円、公立高校45万7,380円でした。差額は51万2,531万円で、私立高校は公立高校のおよそ2.1倍、学費が高いという結果です。
さらに高校生は受験を控えているため、学校の授業料以外にもなにかと支出が増えがち。
家計が厳しく、大学進学を考えるよりも先に、高校生活を送るために支援が欲しいというご家庭もいるでしょう。
まずは高校生が「在学中に使える奨学金」を紹介します。
国や自治体が勉学意欲のある高校生の修学を支援するため、奨学金の給付や貸与を行っています。大きく分けて「授業料の支援」と「授業料以外の教育費の支援」があります。
文部科学省が担当している授業料支援のしくみです。「就学支援金」と略して呼ばれることもあります。
国公私立問わず、日本国内に住所があり、高等学校等に通う所得等の要件を満たす世帯の生徒に給付されます。
高等学校等就学支援金は学校が生徒本人に代わって受け取り、授業料に充てるため、生徒や保護者が直接銀行口座で受け取るものではありません。
世帯所得や通う学校種により、支給金額は異なります。
文部科学省が担当している「授業料以外の教育費を支援する奨学金」です。
授業料以外の教育費には、教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費等が含まれます。
国が都道府県に補助を出し、都道府県が主体となって実施しています。そのため、応募条件には「保護者が申請先の都道府県に該当すること」という項目があります。例えば「子どもは神奈川県の高校に進学したものの、保護者は埼玉県に住んでいる」というケースでは、埼玉県が高校生等奨学給付金に対応します。
「高校生等奨学給付金のお問合せ先一覧(文部科学省)」を参考にしてください。
年収約270万円未満の世帯は、「高等学校等就学支援金」と「高校生等奨学給付金」を併用して利用することが可能です。
各都道府県が、特別な事情で家計が急変し収入が減った家庭の高校生に対して、高等学校等就学支援金(授業料支援)と同等の支援を行う制度です。
高等学校等を中途退学した方が再び高等学校等で学び直す場合に、法律上の就学支援金支給期間である36月(定時制・通信制は48月)を経過した後も、卒業までの間(最長2年)、継続して就学支援金相当額を支給する制度です。
詳細については、進学先(在籍する)の学校の所在する都道府県にお問合せください。
修学や入学のための資金として、地方公共団体(都道府県・市区町村)が独自に奨学金を貸与・給付しています。「高校生等奨学給付金」と名前が似ていますが、給付とは限らないという違いがあります。
自治体の窓口(修学支援担当など)へ相談してみるか、インターネットで「〇〇(お住まいの都道府県名) 高等学校等奨学金」もしくは「〇〇奨学金(〇〇にはお住まいの都道府県名を入れる)」で検索すると見つかりやすいと思います。
各都道府県でさまざまな助成金や減免制度が設けられています。
詳しくは学校の先生に相談したり、各都道府県の窓口やホームページを確認するか、インターネットで「〇〇(お住まいの都道府県名) 助成金 高校生」で検索すると見つけることができますよ。
高校生向けに奨学金を提供する民間企業や団体があります。返済不要の給付型が多く、貸与型であっても大学進学をする場合などで猶予申請も可能です。
いくつかの例を紹介します。
貸与型の奨学金と、給付型の「高等学校等給付奨学生事業」を行っています。
全国に支部があり、希望される方は最寄りの都道府県にある支部へ問い合わせが必要です。
貸与+給付の一体型で、病気や災害、自死(自殺)などで親を亡くした子どもたちや、障がいなどで親が働けない世帯の高校生への奨学金です。
貸与部分は20年以内に無利子返済の義務がありますが、進学したり、生活困窮などで返還が著しく困難になった場合は、申請することで返還時期を延期することができます。
18歳以下(高等専門学校は20歳以下)で、日本国内の高等学校(全日制)もしくは高等専門学校(本科)に在籍、在籍予定の生徒を対象とする給付型奨学金を支給しています。
ひとり親家庭や、保護者が病気、怪我、介護等の事情により就労困難な状況、施設(児童養護施設、自立援助ホーム等)に在籍している、里親や両親以外の親族・親権者など養育されている、保護者不在の状態で生活しているなどの要件に当てはまる高校生対象の給付型奨学金です。
「給付型の奨学金」と「就学支援金」の2種類を提供しています。どちらも学校長の推薦が必要で、学校の先生に応募手続きをとってもらうタイプです。
■「加藤山崎奨学金」
国公立私立を問わず、日本国内の学校(特別支援校、養護学校、高等専門学校、専修学校は除く)に在学する小学5年生、中学2年生、高校2年生の生徒が対象で、優秀な成績(前年度の評定平均4.3(学習成績概評A)以上、5段階評価でない場合はそれに準ずる成績)を納めていることなど、応募資格が定められています。
■「加藤山崎修学支援金」
国公立私立を問わず、日本国内の学校(特別支援校、養護学校、高等専門学校、専修学校は除く)に在学する小学4、5、6年生、中学生、高校生が対象で、前年度の評定平均2.7(学習成績概評C)以上、5段階評価でない場合はそれに準ずる成績など応募資格が定められています。世帯の年間所得200万円未満を目安としていますが、所得が上回っていても応募は可能です。
私立の場合、独自に奨学金を設けている高校があります。
新入生が入学試験の出願と同時に申し込み、家計の審査や入試の成績で採用されるものだけでなく、入学後全学年を対象に募集が行われたり、家計の急変に応じて随時申請を受け付けていたりします。
以上が、高校生が在学中に使える奨学金の説明でした。続いては「大学進学の際に使える奨学金」を紹介します。
高校生の時点で “大学進学のために申し込む奨学金” は「予約採用」という言葉であらわされます。
ほとんどの場合、高校3年生の秋ごろまでに申し込みや採用の結果発表があり、受験に合格後、入学手続きと一緒に奨学生として正式に採用され、奨学金の振り込みが始まります。
メリットとしては、
といったことがあげられます。
最も有名な奨学金制度です。貸与型と給付型の両方に予約採用で申し込みができます。日本学生支援機構の予約採用についてはこちらの記事を参考にしてください。
2020年4月よりスタートした、専門学校・短期大学・大学の学費が実質的に無償化する高等教育の修学支援新制度(高等教育無償化)です。
対象は、住民非課税世帯(年収約270万円未満)、住民非課税世帯に準ずる世帯(年収約270万円〜約380万円未満)の学生さん。
日本学生支援機構の給付型奨学金にくわえて、新大学1年生のみ 入学金・授業料の免除・減額 が受けられます。
高校3年生のうちに申請をし、大学入学時に手続きを取ることで、最大で年間約91万円の奨学金を受け取りながら年間約70万円の授業料が減免されます。
詳しくは下記の記事も参考にしてください。
進学希望先の大学によっては、卒業見込みの高校生(または卒業後の高校生)が入試出願前の9月〜12月ごろに申請を済ませ、受験前に採用結果が届き(12月下旬ごろ)、入学後に奨学金を受け取るという「入試前予約型奨学金」を行っている場合があります。
大都市圏の私立大学を中心に実施されていますが、国公立大学でも導入されています。
< 私立大学の例 >
< 国公立大学の例 >
志望大学のホームページで該当情報を探すか、インターネットで「入試前予約型奨学金」と検索するのがおすすめです。
高校在学中に予約できる民間の奨学金は、給付型かつ大学卒業まで支援が続くものがたくさんあります。大学入学後に応募できる奨学金だと1年限りの支援がほとんどなので、高校在学中にいろんな奨学金を探して応募してみるのがおすすめです。
特徴としては、進学先に指定があるケースが多い傾向があります。いくつかの例を紹介します。
大学入学前の高校3年時に奨学生の募集・選考を行い、財団が指定する大学に入学した方を正式採用し、奨学金を給付しています。個人からの直接応募ではなく、学校の推薦を通じた申し込みです。(なお、高校2年生を対象として高校卒業まで利用できる「高校奨学金」も行っています。)
指定大学は全国各地にあり、選考では国公立大学の希望者(学部は医学部、理工学部、法学部、商学部)の志望者が優先されるとのこと。
長年、進学予定の高校生向けに給付型の奨学金を実施しています。
大学1年時には入学一時金30万円と月額8万円が給付され、最大4年間で414万円もらえます。
今回の記事では、高校生が申し込める「奨学金」にしぼって紹介しました。
奨学金制度以外には、受験のための費用をまかなえる「受験生チャレンジ支援貸付事業(東京都)」や「日本政策金融公庫の教育ローン(国の公的融資制度)」、「教育支援資金(お住まいの市区町村にある社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度)」など、貸付金を利用する手もあります。
ただし貸付金の場合は必ず返さなくてはならず、利息がつくものも多いため、高校生のうちに申し込むのであれば、奨学金をまず選ぶのが良いでしょう。
応募方法は、学校に申請してもらうもの、本人が直接応募するもの、郵送、オンラインなどさまざまです。併用可能な場合があるので、気になる奨学金制度を見つけたら申し込み条件だけでなく申請時期や申請方法を必ずチェックし、応募のスケジュールを立ててみましょう。