奨学金の返済に困っていたら!全国の自治体が行う「返還」支援制度の利用がおすすめ
“貸与型”の奨学金を借りている方は、大学等を卒業後に「返還」をしていく義務があります。
日本学生支援機構の場合、「貸与が終了した月の翌月から数えて7ヶ月目」から振替口座(リレー口座)で返還を行わなければなりません。毎月の支払額は借りた額によって人それぞれですが、自身の経済状況によっては返済が難しい場合もあるでしょう。だからといって、延滞してしまった場合、「個人信用情報機関に延滞者として登録」されてしまいます。そうなると、
- クレジットカードが発行できない
- クレジットカード利用が止められる
- 自動車や住宅など各種ローンが組めなくなる
などの問題が、今後生じる恐れがあります。
奨学金の返還でお困りの方は「返還支援制度」の利用を考えてみてください。
この制度は都道府県や地方公共団体(市区町村)、企業等が主体で行っており、条件付き で返還の一部を肩代わりしてくれるものです。
今回の記事では、全国の自治体が行っている「返還支援制度」をエリアごとにまとめました。お住まいの地域にある制度をご自身が利用できるか、ぜひチェックしてみてください。
※情報は 2021年 1 月現在。株式会社 Crono の独自調査による。「助成額」ならびに「支援期間」があるものは明記。
北海道エリア
北海道
東北エリア
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
関東エリア
東京都
茨城県
栃木県
- とちぎ未来人材応援奨学金支援助成金
【大学生】
卒業前 2 年間に貸与を受ける奨学金の全額 (上限 150万円)
【大学院生】
修士課程修了前 2 年間に貸与を受ける奨学金の額の 1 / 2 (上限 100万円)
【短期大学生】
卒業前 2 年間に貸与を受ける奨学金の額の 1 / 2 (上限 70万円)
【高等専門学校生】
卒業前 2 年間に貸与を受ける奨学金の額の 1 / 2 (上限 70万円)
埼玉県
中部エリア
新潟県
- 新潟県Uターン促進奨学金返還支援事業
申請年度の前年度において返還した奨学金等(利息を除く)の額(最大 20万円/年、助成総額の上限 120万円)
※高等専門学校在学時に受けていた奨学金を返還している場合、4 ~ 5 年在学時に貸与を受けていた分が支援対象。県内に転入・就業した日の属する年度の前年度末の奨学金等の残額の 1 / 2 が上限。
支援期間:最長 6 年間
富山県
- 富山県理工系・薬学部生対象奨学金返還助成制度
就業 2 〜 10年度目は、前年度に返還した奨学金相当額。
11年度目は、奨学金残額(対象経費から各年度の既交付額の累計を控除した額)
※助成対象経費は
【理工系学部生】
奨学金総額のうち 2 年間の総額
【理工系大学院生】
大学院在学時の 2 年分の奨学金総額
【6 年制薬学部】
・第 5 学年 及び 第 6 学年在学時の 2 年分
もしくは
・第 1 学年 〜 第 6 学年在学時の 6 年分
- 立山町奨学金返済応援補助制度
【県内の大学 / 高校 / 専門学校等を卒業した場合】
前年度返済額の 5 割または 8 万円/年のどちらか低い額【県外の大学 / 高校 / 専門学校等を卒業した場合】
前年度返済額の 5 割または 15万円/年のどちらか低い額
※ただし「立山町米百俵基金」に寄付をしている企業に就職した場合、
① → 前年度返済額の 6 割または 10万円/年のどちらか低い額
② → 前年度返済額の 6 割または 18万円/年のどちらか低い額
支援期間:最長 10年間
石川県
福井県
- 福井県U・Iターン奨学金返還支援事業
認定後に返還する奨学金の年間支払額(上限 20万円)
支援期間:5 年間(最大 100万円)
- 坂井市UIJターン奨学金返還支援事業補助金
上限 20万円 / 年
支援期間:6 年間(最大 100万円)
※ ただし市内事業所に就業する看護師・保育士の場合は 9 年分(上限 160万円)
- 高浜町UIターン奨学金返還サポート制度
①大学等卒業者
返還総支払額の 1 / 2 (最大 200万円)
②高校等卒業者
返還総支払額の全額(最大 100万円)支援期間:5 年間※追加給付
以下の場合、1 人につき 10万円を加算して給付。
☆未就学児(0 歳 ~ 6 歳の小学校入学前までの子ども)がいる
☆子どもが産まれた場合(5 年目の給付申請までの間に)
山梨県
- 山梨県ものづくり人材就業支援事業
【第一種奨学金のみの貸与を受けた期間】
卒業前 2 年間に第一種奨学金として貸与を受けた額【第二種奨学金のみの貸与を受けた期間】
卒業前 2 年間に第二種奨学金として貸与を受けた額
※ ただし、月額の補助上限額は、独立行政法人日本学生支援機構法施行令学校を卒業した者について、学校等及び通学形態の区分に応じ、それぞれ定める月額の最高額とする
支援期間:5 年間
長野県
岐阜県
静岡県
愛知県
- 豊橋市奨学金返還支援補助金
1 人当たり 1 万 5 千円/月(総額 54万円)
支援期間:奨学金返還開始月から 3 年間
- 瀬戸市せとまち人材応援助成金
1 年間に返還した奨学金(利息を除く元金部分のみが対象)に 2 / 3 以内を乗じた額 ※上限あり支援期間:市内企業に正規雇用により就職した日から 6 年間
近畿エリア
京都府
- 京都府就労・奨学金返済一体型支援事業
下記いずれか低い額
①企業負担額の 1 / 2 以内
②年間奨学金返済額の 1 万円を超える部分の 1 / 2 以内
③正社員となってから 1 〜 3年目までは 年 9 万円、4 〜 6年目までは 年 6 万円
※新卒採用で返済猶予期間がある場合は、初回返済日の月から起算
- 城陽市若者定住奨励奨学金返還支援制度
1 年間に返還した奨学金額の 1 / 2(上限 8 万 6 千円)
支援期間:最長 5 年間
大阪府
- 大東市未来人材奨学金返還支援補助制度
奨学金等の返還額の 1 / 2(上限 7 万 5 千円 ※ 1 年を上・下半期に分けた 1 期あたり)
支援期間:返還を開始すべき月から、最長 8 年間
- 和泉市奨学金返還支援事業
補助金の交付申請を行う前年度の交付対象期間に返還した奨学金の返還月額を合算した額(上限 2 万円/月)
支援期間:最長 3 年間
三重県
兵庫県
和歌山県
- 和歌山市奨学金返還助成制度
助成金額は、25万円 × 奨学金受取月数 / 12
例:4 年制の場合、上限は 100万円(25万円 × 48ヶ月 / 12)
中国・四国エリア
岡山県
- 津山市若者定住促進奨学金返還金補助事業
【無利子の奨学金】
月賦返還の場合の返還月額(上限 2 万円)
支援期間:3 年間分【有利子の奨学金】
月賦返還の場合の返還月額(上限 2 万円)
支援期間:2 年間分【無利子・有利子併用】
いずれか多い額
鳥取県
島根県
- 島根県奨学金返還支援助成制度
【高校等で貸与を受けた者】
最大 9 年間就業で 86.4 万円【大学等で貸与を受けた者】
最大 12年間就業で 288万円
山口県
- 山口県高度産業人材確保事業奨学金返還補助制度
補助対象期間の月数 ÷ 72 × 奨学金の返還額
※補助対象期間とは、大学院修了等の後に県内製造業を有する企業(対象企業)で就業を始めてから 12年間のうち、県内製造業で就業した期間(最大 6 年間)
※補助金額の上限は、日本学生支援機構の無利子奨学金の最高額(入学年度によって異なるが約 2 ~ 9 万円/月)
- 下関市奨学金返還支援補助金制度
年返還額 または 12万円のいずれか低い額
支援期間:5 年間
徳島県
- 徳島県奨学金返還支援制度
【無利子の奨学金】
返還総額(既卒者の場合は返還残額)の 1 / 2 ※上限あり【有利子の奨学金】
利子を除く返還総額 (既卒者の場合は利子を除く返還残額)の 1 / 3 ※上限あり
支援期間:就業日から 8 年間
愛媛県
高知県
九州エリア
福岡県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
- ひなた創生のための奨学金返還支援事業
【就業 1 年経過時】
返還総額のうち元本相当額の 1 / 2 又は 支援限度額のいずれか低い方の額 × 0.3
・大学院 / 6年制大学 → 上限 45万円
・4年制大学 → 上限 30万円
・短大 / 高専 / 専修学校専門課程 → 上限 15万円【就業 3 年経過時】
返還総額のうち元本相当額の 1 / 2 又は 支援限度額のいずれか低い方の額 × 0.3
・大学院 / 6 年制大学 → 上限 45万円
・4 年制大学 → 上限 30万円
・短大 / 高専 / 専修学校専門課程 → 上限 15万円
【終業 5 年経過時の三分割】
返還総額のうち元本相当額の 1 / 2 又は 支援限度額のいずれか低い方の額から、1 年経過時及び 3 年経過時に交付した額の合算額を控除して得た額
・大学院 / 6 年制大学 → 上限 60万円
・4 年制大学 → 上限 40万円
・短大 / 高専 / 専修学校専門課程 → 上限 20万円
※「ひなた創生のための奨学金返還支援事業」の対象となる方のうち、国富町に定住する方には国富町より独自に補助金を上乗せ支援あり
鹿児島県
- 薩摩川内市奨学金返還支援補助事業
前年度に返還した奨学金額の 1 / 2(上限 20万円)
支援期間:返還が完了するまで、または補助金総額が 200万円に到達するまで
まとめ
今回の記事では、全国の自治体が行っている奨学金返還支援制度をエリアごとに紹介しました。ご自身が利用できるものが見つからなかった場合でも、例えば日本学生支援機構であれば 減額返還 や 返還期限猶予 の申請などをすることができます。
奨学金の返還で困った時にはそのままにせず、支援制度を利用したり、貸与元への相談や各団体のホームページで対処法を探してみてくださいね。