奨学金制度とは?①どんな種類があるのか教えます!
奨学金は「入学〜卒業まで」や「1年間のみ」など制度ごとに受給期間が定められています。
日本学生支援機構の場合、基本的には奨学生として採用されてから卒業まで毎月決まった金額が奨学金として振り込まれていきます。しかし、一度貸与・給付が始まったらそのまま何もせず卒業まで利用できるものではありません。年度が変わるごとに奨学生の方自身が手続きをすることで、次年度からも奨学金を利用し続けられるようになります。
その手続きが「奨学金継続願」の提出です。
この手続きには期限が設けられており、奨学金を継続したい学生さんは必ず期限内に手続きを済まさなければなりません。期限を過ぎてしまった場合は「奨学金を継続する意思がない」と判断され、翌年度4月以降の奨学金の貸与・給付がストップしてしまいます。
今回の記事では、日本学生支援機構の奨学金を利用している方・利用したい方に必ず知っておいてほしい「奨学金継続願」について解説していきます。なお、日本学生支援機構以外の奨学金については各財団などによって内容が異なるため、制度ごとに公式情報を確認してくださいね。
POINT
✔️ 日本学生支援機構の奨学生は全員手続き必須!未提出者は奨学金ストップ
✔️ 奨学金継続願はインターネット(スカラネットPS)で提出
✔️ 提出期限は学校によって異なる
✔️ 奨学金継続願提出後に行われる「適格認定」によって、奨学金がストップすることもある
日本学生支援機構の奨学金は基本的に月額制で、年度が変わっても奨学金を貰い続けたいという場合に必要な手続きが「奨学金継続願」の提出です。
貸与奨学金を利用している方が奨学金継続願を提出し損ねた場合、奨学金は「廃止」となり、奨学生としての資格を失います。翌年度4月以降からは奨学金が利用できなくなり、返済の義務が始まります。
給付奨学金を利用している方が奨学金継続願を提出し損ねた場合、奨学金は「停止」となり、翌年度4月以降の振り込みが止まります。完全に奨学生の資格がなくなる「廃止」とは異なり、「停止」の場合は後日再開の手続きをすればまた奨学金を利用できるようになります。しかし停止期間は給付期間として通算されるため、総支給月数は減ってしまいます。
このように、手続きをし損ねた場合は次年度からの奨学金を利用できなくなる、または総支給額が減ってしまいますので、奨学生の方は必ず年1回の手続きのことを忘れないようにしてください。
日本学生支援機構の貸与奨学金、給付奨学金を利用しているすべての奨学生が対象です。
次年度も奨学金を継続したい学生さんはもちろん、次年度からの奨学金は必要ないという学生さんも、奨学金継続願の中で「次年度から奨学金の必要はない」という意思表示をする必要があります。忘れずに手続きを行いましょう。
奨学金継続願は、日本学生支援機構のwebページである「スカラネットPS」へ必要な情報を入力していくだけで提出できます。手続きはインターネット上のみで終わり、特別に書類を日本学生支援機構へ郵送したりすることはありません。
スカラネットPSヘ入力する情報は、貸与奨学金を利用している方と給付奨学金を利用している方で少し異なります。
貸与奨学金を利用している方は、
を入力していきます。
家計の経済状況について入力するためには、両親祖父母など主として生計を維持している人の源泉徴収票や所得税の確定申告(控え)など、「収入に関する証明書」をあらかじめ準備しておきましょう。
給付奨学金を利用している人は、
を入力していきます。
貸与奨学金と給付奨学金を併用している方は、それぞれ継続願の届出が必要です。先ほどお伝えしたように、奨学金継続願で入力する内容は給付奨学金と貸与奨学金で異なるため、後述する「奨学金継続願入力準備用紙」をそれぞれ準備したうえで、スカラネットPSでの入力作業を行いましょう。
奨学金継続願の提出期限(スカラネットへの入力期限)は在籍している学校ごとで異なります。
年度が変わる前(12月〜2月ごろ)に学校で「奨学金継続願」の説明会が開催され、その際に具体的な提出期限日が共有されます。説明会には忘れずに出席し、提出期限を確認しましょう。
また、説明会では奨学金継続願の提出に関する書類等をもらいます。その書類の中で大切なのが「奨学金継続願入力準備用紙」です。この用紙はスカラネットPSで入力する情報の下書きとして鉛筆で記入する様式になっています。
スカラネットPSには30分の入力時間制限があり、入力に30分以上かかってしまうと最初からやり直しになってしまいます。誤入力を防ぎ、時間内にスムーズに入力できるようにするためにも、必ず「『奨学金継続願』入力準備用紙」に下書きをしてからスカラネットPSでの入力に臨みましょう。
奨学金継続願を提出したかどうかは、スカラネットPSにある「奨学金継続願提出画面」にある奨学生番号ボタンの右側に「提出済」と表示されているかどうかで確認できます。
奨学金継続願の手続きは日本学生支援機構の奨学生全員が対象であり、次年度から休学する方でも奨学金継続願を提出しなければなりません。
その際に「休学するのでその間の奨学金はいらない」からといって、うっかり「奨学金継続を希望しない」という意思表示をしてしまうと復学後に奨学金を利用できなくなるので注意してください。
復学後に奨学金を利用する予定があれば、必ず休学前の奨学金継続願の手続きで「奨学金の継続を希望する」意思表示をしてください。その後、学校の担当者に休学の旨を連絡し、指示にしたがって「休学届」の提出や奨学金の休止手続きを行うことで、休学中に奨学金が振り込まれなくなります。
いったん休止した奨学金を再開する方法はこちらの記事をご一読ください。
ここまで奨学金継続願の提出手続きについて説明してきました。
では「奨学金継続願の提出をすれば、絶対に次年度も奨学金を利用できる」かといえば、実はそうとも限りません。
奨学金継続願の提出をしても、その後行われる「適格認定」という審査によって、奨学金の廃止・停止措置を受けてしまう場合があるんです。
奨学金継続願の提出後、奨学生は在籍する学校内で、次年度も奨学金を継続するにふさわしい生徒であるかどうかの審査をされます。この審査を「適格認定」といいます。
適格認定では、奨学生が提出した奨学金継続願の内容と学業成績等にもとづいて厳格な審査が行われます。貸与奨学金の審査と給付奨学金の審査では、給付奨学金の方が審査の基準が厳しくなる傾向があります。
貸与奨学金の奨学生は、
という3つの点で審査を受けます。この審査で奨学金の継続が認められないと判断された学生さんには、学校が「処置通知」を交付します。
処置通知には「廃止」「停止」「警告」の区分があり、最も重い「廃止」処置になると、奨学金継続願の提出をしていても奨学生の資格を失い、翌年度から奨学金の返済を始めなくてはならなくなります(なお、在学猶予願の手続きをすれば返還期限を猶予してもらえます)。
給付奨学金の奨学生はいずれかに該当した場合、「廃止」か「警告」の処置を受けることがあります。
廃止
警告
給付奨学金はもともと「返済不要の奨学金」ですが、学業成績の低下により給付奨学金の廃止処置を受けてしまうと、それまでもらってきた給付奨学金を返還しなければならなくなることがあります。というのも、給付奨学金を受けられる生徒は「高い学業成績を修めていること」が必須条件だからです。「廃止」処置が決定すると、日本学生支援機構から直接、返還すべき金額や返還方法等を記載した返還開始の通知と返還誓約書が奨学生の元に届きます。
適格認定があることで、奨学金継続願の提出が終わったから一安心、となれるわけではないのは怖いですね。しかし奨学生として適切な学校生活を送っていれば、よほどのことがない限り、廃止や停止処置にはならないはずです。
卒業まで継続して奨学金を利用したい方(特に給付奨学金を利用する方)は、年一回適格認定があることを考慮して、日頃から学業成績の維持向上や品行方正に努めていきたいですね。
日本学生支援機構の奨学金を卒業まで継続して利用するためには、年に一度の「奨学金継続願」の提出手続きを忘れずに行いましょう。提出期限は在籍する学校ごとに違うので、必ず事前に開催される説明会に出席し、ご自身で提出期限を把握しておきましょう。提出し損ねると、貸与奨学金は「廃止」、給付奨学金は「停止」扱いになってしまいます。せっかく得た奨学生の資格を失ってしまわないように気をつけてくださいね。
奨学金継続願提出後の「適格認定」により継続以外の処置(廃止・停止・警告)を受ける可能性もあるので、日々奨学生としての自覚を大切に、学生生活を送っていきましょう!