奨学金制度とは?①どんな種類があるのか教えます!
審査が厳しく、“狭き門”という印象のある給付型奨学金。しかし経済的に悩む学生であれば、まず申請を考えてみてほしい制度です。
この記事では、2020年8月からCronoの学生インターンが募集した「給付型奨学金の合格体験談アンケート」の回答を元に、給付型奨学金制度に採用された先輩たちの “声” を、全3回の連載記事でお届けします。
「申請先を見つけた方法」や「受かるために工夫したこと」など、これから奨学金を考える方にとって気になるポイントがたくさん!
また「受け取った奨学金が実際に、学校生活でどう影響を与えているのか」というリアルな話まで。
奨学金で学ぶ先輩たちの体験談、ぜひお読みください。
体験談を紹介する前に、まず現在、奨学金制度の利用を考えている皆さんにお伝えしたいことがあります。それは、
手始めには「給付型奨学金」を探して申し込もう!
ということです。
多くの人にとって、「将来、返済するのが大変」というイメージが根強い奨学金制度。
しかしそれは返還が必要な「貸与型」奨学金のこと。
「給付型」であれば返済の必要がなく、学校生活や卒業後の生活を、のびのびと送ることができます。
「給付型」の奨学金は、
といった機関が募集をしています。
※奨学金の種類(給付型・貸与型など)についてはこちらの記事をお読みください▼
ところで、奨学金には貸与型と給付型の2種類がありますが、国内では「給付型」の募集が最も多い ことをご存知でしょうか?
全国で行われている奨学金事業は「貸与型+給付型」合わせて年間およそ 1 万件。そのうち、なんと 7,867 件を給付型奨学金が占めているんです(2016年時点、Crono調査)。
それなのに、給付型奨学金は “返済不要” という好待遇のせいか
という印象を学生側が持ちやすく、最初から申し込みを諦めてしまう方が多くいるようです。また、
ということもあり、存在に気づかないまま「とりあえずよく名前を聞く“日本学生支援機構”を」と、知名度を基準に選択するケースも。
ですが先ほど述べたように、給付型奨学金は貸与型よりも募集している数が多いんです。
それぞれ審査基準も異なり、
ものなど、「こんなものがあったんだ!」と驚く制度が、調べれば見つかることもあります。
給付型なんて、自分は審査で無理かもしれないな……と初めから諦めてしまうのはもったいないことです。
「もしかしたら応募できるところがあるかも」と、チャンスを掴みに、一歩を踏み出してみませんか。
ここからは「給付型奨学金」の奨学生として採用された先輩の事例を、Crono が独自で行ったアンケートを元に紹介していきます。
まずは気になる「給付型奨学金を見つけた方法」。
今回体験談を寄せてくださった奨学生 17名に聞いてみると、最も多かったのが
という回答でした。似たようなものに「高校の教員や高校へ配布されるお知らせ(1名)」がありました。高校生でも、在学中の高校を通じて見つけることができるようです。
続いて多かったのが、
他には「保護者がWeb検索(2名)」や「親の知り合いからの口コミ(1名)」など、家族の協力を得ている方がいました。
以上の回答から、
のが、自分にあった給付型奨学金を見つけられる最も確実な方法のようです。
特に「予約型採用を目指している受験生(高校3年生)」や「忙しい学生さん」は、自分で調べる時間がなかなか取れないと思います。困ったときは周りを頼ってくださいね。
続いて17件の体験談を、特徴ごとに分けてみました。
この記事では連載の第1回として、
より、4つの体験談を紹介します。
その他の体験談は記事の最後にリンクを貼っておきますので、そのまま読んでいってくださいね。
財団等が行う給付型奨学金の特徴に、「交流」があります。交流会や懇談会など呼び名はさまざまですが、各財団の奨学生同士、場合によってはOB・OGの方々も集まって多様な経験を共有し合う財団主催の行事です。
給付型奨学金で学ぶ人々は、志の高い方がほとんど。交流の機会は、すでに活動している同年代や、業界で活躍する先輩たちなど、刺激的な出会いや学外のつながりを得られるチャンスにあふれています。
体験談に登場する上記の給付型奨学金は、学生から「交流」の面で高い評価をされていました。
- ファッション総合メーカー、オンワードグループの創業者・樫山 純三 氏が設立
- 対象は 指定大学の推薦を受けた学部生
- 給付額は 4万円/月(最短4年間)
ご自身が採用されたポイントはどこだと思いますか?
−大学入試の成績が良かったほか、「高校時代に学校行事の役割(体育委員長)を担っていたこと」や「自分の夢を明確に持っていたこと」、そしてそれらをアピールしきれたからだと思います。
体育委員長として活躍したことは、学校教員からの推薦書にも書いてもらいました。また、応募時の作文テーマが「将来の夢」で、自分は既に高校時代の経験から説明可能な粒度で夢を持っていたので、しっかりと伝えられました。
この奨学金で、学校生活にどんな影響がありましたか?
− 大学入学後、奨学金のおかげで挑戦を続けられました。司法試験予備試験の受験、部活動、授業の教材など、すべて奨学金を利用させていただきました。
「全国会合」という集まりでは、さまざまな方の講演を聞いたり、奨学生同士の横のつながりをつくることができました。
その他、後輩に伝えたいことはありますか?
− 樫山奨学財団は、学生にやさしい奨学金です。大学を通じて申請する必要があるので、対象大学の方はぜひ確認してみてください。
ご自身が採用されたポイントはどこだと思いますか?
– 選考時には、進学後も努力できる証拠を願書や自己PRで記入したことが、合格に繋がったと考えています。
私は成績優秀者として学部に表彰していただいたので、そのことを書きました。大学院でも研究に励むことができる人だと、伝えることが大事だと思います。
この奨学金で、学校生活にどんな影響がありましたか?
– 私は学士の時に貸与型奨学金を受給し、修士でも貸与型を借りる必要がありました。そんな時、この奨学金制度を知り、申し込みをしました。
中薫奨学生として採用して頂けたことで、気持ちが随分軽くなると共に、アルバイトに時間を取られすぎず、研究にしっかり打ち込むことができています。
今後も中薫奨学生の名に恥じぬよう、研究に励んで参ります。
その他、後輩に伝えたいことはありますか?
– 中董奨学会の特徴は、他大学の学生と繋がれることです。
中薫奨学会では独自のSNSグループが存在します。そこで交流したり、他学生の活動状況を知ることは、とても刺激をもらえます。
また月に一度、中薫奨学会の方とメッセージ交換を行っています。事務的ではないフレンドリーな雰囲気で、楽しみとなっています。
申し込みは、奨学会HPから直接する必要があります。募集時期の3月〜4月に確認するようにしましょう。
奨学会HPには、奨学生OB・OGの方によるメッセージ が掲載されています。こちらもぜひ読み、参考にすると良さそうです。
ご自身が採用されたポイントはどこだと思いますか?
– 自己PR文で、簡潔に厳しい経済状況を説明できたからだと思います。
世帯年収が低く、高齢の祖父母と同居(祖母は要介護で施設に入居中)しているため仕送りが期待できない旨を伝えました。そしてアルバイトを複数掛け持ちしており、その時間に圧迫されて学業に集中できていないことと、留学をずっと目指しているものの、資金調達が厳しいこともアピールしました。
この奨学金で、学校生活にどんな影響がありましたか?
– 「アルバイトを増やさなければ」というプレッシャーから解放されたことです。経済的余裕ができたので、安心して学業に打ち込めるようになりました。
経済的に余裕がない大学生にとって、「生活費を稼ぐこと」と「学業の時間を確保すること」の両立はなかなか苦しいことです。さらに、2020年はコロナウイルス感染症の影響もあり、いっそう大変な状況になっていると思います。
私もそのような状態で悩んでいたので、この奨学金に採用していただけたことには、感謝してもしきれません。恩返しとして学業に打ち込み、運営している皆様に恥じない行動をしていきたいです。
その他、後輩に伝えたいことはありますか?
− 「懇親会」で他の奨学生やOB・OGに出会えるということが、大変有意義だと思います。まだ参加はできていないのですが、とても楽しみです。
募集は推薦校にかかり、大学を通して申請します。大学の掲示板をよく確認しておくと良さそうです。
ご自身が採用されたポイントはどこだと思いますか?
– 学部内で成績が良かったことや家庭の事情もあると思いますが、一番は「自己PR欄に力を注げた」ことだと思います。自分の将来像やその元となった自己体験、つくりたい世界観を、自分なりの言葉で率直に書きました。
文章をゼミの先生や信頼できる大人に添削してもらったことも、良い結果につながったと感じています。
この奨学金で、学校生活にどんな影響がありましたか?
– 全国にいる関係者との交流のおかげで、考え方や知見の広がりが得られたのが良かったと思います。
採用者が集まる Facebookグループは、とてもアットホームなコミュニティです。現役学生たちの活動や内面的な思考の共有があったり、OB・OGの方々もいらっしゃいます。年に3回ほど面談があり、メンタリング的な対話をしていただくことも。
その他、後輩に伝えたいことはありますか?
– 毎年4〜5月に、各校で募集の告知があるようです。指定校になっていないか、募集がきていないか大学の窓口で確認してみてください。
今回の記事では、「交流」が充実している給付型奨学金に申し込んだ先輩たちの体験談を取り上げました。多感な学生時代にたくさんの人と繋がり、知見を広めることは、将来にも必ず生きる素晴らしい経験値となるはずです。
「自分の将来像や夢」を明確に伝えたり、進学後も勉学に励む姿勢を強くアピールできるかが、採用されるキーポイントみたいですね。
次回は第2回、「チャレンジしやすい」奨学金 を紹介します。お楽しみに!