【イベントレポート】エース薬剤師の仕事と年収大解剖−成長する薬剤師とは−
みなさんが転職を考える理由はなんでしょうか?
様々な理由があるとは思いますが、よく挙げられるものをまとめてみます。
もちろん、全てを満たしてくれる会社があればそれが一番いいと思うのですが、なかなかそうはいかないのが現実です。
自分にとって何が一番大事か?
妥協できる部分は何か?
そのことををしっかり整理して転職活動を行う必要があります。
今回は多くの方が気になっていると思う「薬剤師の年収」についてお話ししたいと思います。
薬剤師になる前に把握できることはもちろん、初回転職の前までに押さえておくことで、実際の現場を知った上での経験と合わせて、職場を選ぶ際の大きな武器になるはずです。
厚生労働省が実施した「令和3年賃金構造基本統計調査」によると薬剤師の平均年収は「580.5万円(平均年齢:41.1歳)」となります。日本全体の平均年収は489万円なので、薬剤師の年収は平均よりも高いことがわかります。
※平均年収=「きまって支給する現金給与額」×12カ月+「年間賞与その他特別給与額」(賃金構造基本統計調査)で計算
薬剤師の平均年収は日本全体の平均よりも90万円も高くなっています。
ですが、薬剤師の年収は高くないという意見があるのも確かです。
それでは他の医療職種と比べるとどうなんでしょうか?
薬剤師は医師・歯科医師・獣医師に次ぐ年収で決して低くはありません。
同じ薬剤師でも、働く職場(業種)によって年収に差があります。
業種 | 平均年収 |
病院薬剤師 | 434.6万円 |
調剤薬局 | 488.3万円 |
ドラッグストア | 512.5万円 |
製薬企業 | 543.2万円 |
出典:マイナビ薬剤師 薬剤師の転職Q&A転職準備
病院薬剤師が一番低く、製薬企業が一番高くなっていますが、あくまでも平均年収なので、必ずしもこの通りの差が出るわけではありません。
このような傾向にあるということを知っておいてください。
次は年齢別の平均年収を見てみます。
年齢層 | 平均年収 |
20~24歳 | 378.4万円 |
25~29歳 | 473.3万円 |
30~34歳 | 547.0万円 |
35~39歳 | 613.6万円 |
40~44歳 | 640.7万円 |
45~49歳 | 635.4万円 |
50~54歳 | 683.2万円 |
55~59歳 | 642.2万円 |
60~64歳 | 601.7万円 |
65~69歳 | 577.6万円 |
70歳~ | 524.5万円 |
50代前半がピークとなっており、それまでは年齢とともに順調に昇給していくことがわかります。
一見するとそこまで悪くはないように見えるのですが、大手企業に比べて中小企業では退職金が少なくなる傾向があるため、退職後の貯蓄の必要性までを含めて考える必要があります。
過去10年間の平均年収の推移をまとめてみます。
年度 | 平均年収 |
2013年 | 532.6万円 |
2014年 | 531.2万円 |
2015年 | 533.5万円 |
2016年 | 492.8万円 |
2017年 | 514.9万円 |
2018年 | 543.8万円 |
2019年 | 543.6万円 |
2020年 | 561.6万円 |
2021年 | 565.1万円 |
2022年 | 580.5万円 |
薬剤師全体で見た場合の平均年収も少しずつ増加していますね。
さらに年齢別に分けて集計してみます。
年度 | 20〜24歳 | 25~29歳 | 30~34歳 | 35~39歳 | 40~44歳 | 45~49歳 | 50~54歳 | 55~59歳 | 60~64歳 | 65~69歳 | 70歳~ |
2013年 | 317.7万円 | 445.6万円 | 500.0万円 | 568.4万円 | 604.5万円 | 641.6万円 | 608.2万円 | 627.0万円 | 512.8万円 | 574.6万円 | 334.3万円 |
2014年 | 316.2万円 | 439.6万円 | 517.5万円 | 577.9万円 | 607.4万円 | 635.2万円 | 642.6万円 | 600.5万円 | 598.4万円 | 490.9万円 | 487.9万円 |
2015年 | 316.5万円 | 437.4万円 | 528.3万円 | 587.1万円 | 603.3万円 | 630.5万円 | 616.9万円 | 591.5万円 | 647.1万円 | 464.6万円 | 474.5万円 |
2016年 | 379.3万円 | 452.3万円 | 501.4万円 | 511.1万円 | 547.5万円 | 535.1万円 | 571.9万円 | 525.7万円 | 608.9万円 | 453.2万円 | 896.9万円 |
2017年 | 332.9万円 | 439.4万円 | 512.6万円 | 556.5万円 | 599.6万円 | 630.8万円 | 604.6万円 | 624.7万円 | 573.3万円 | 479.6万円 | 413.0万円 |
2018年 | 355.9万円 | 472.4万円 | 524.8万円 | 585.6万円 | 615.6万円 | 627.0万円 | 613.0万円 | 609.5万円 | 605.1万円 | 506.5万円 | 529.5万円 |
2019年 | 354.2万円 | 465.3万円 | 542.5万円 | 601.9万円 | 614.1万円 | 621.0万円 | 604.5万円 | 610.6万円 | 557.6万円 | 490.0万円 | 583.4万円 |
2020年 | 376.0万円 | 476.3万円 | 539.5万円 | 595.6万円 | 604.3万円 | 647.1万円 | 683.8万円 | 656.4万円 | 565.8万円 | 577.9万円 | 503.5万円 |
2021年 | 352.7万円 | 456.7万円 | 526.2万円 | 588.5万円 | 609.5万円 | 657.8万円 | 656.1万円 | 640.8万円 | 581.8万円 | 696.1万円 | 469.2万円 |
2022年 | 378.4万円 | 473.3万円 | 547.0万円 | 613.6万円 | 640.7万円 | 635.4万円 | 683.2万円 | 642.2万円 | 601.7万円 | 577.6万円 | 524.5万円 |
少し見にくい表になってしまいましたが、年収が最も高くなっているところにマークをつけてみました。
ただし、60歳以上のデータについては統計の対象となる人数が少なくなっており、平均値の数値に偏りが出やすくなるため参考値と考えました。そのため、60歳以上で最高年収を超しているものについては下線をつけています。
この結果を見るとわかるように、薬剤師は40代後半〜50代前半に年収のピークを迎えることがわかります。
年齢層ごとに分けて見た場合も概ね上昇傾向にあることがわかります。
薬剤師の年収は地域によって差があります。
基本的には都市部よりも地方のほうが年収が高い傾向にあります。
全都道府県をのせると長くなってしまうので、上位5県と下位5県のみを掲載します。
上位 | 都道府県 | 平均年収 |
1位 | 山口県 | 780万円 |
2位 | 福島県 | 737.4万円 |
3位 | 宮城県 | 678万円 |
4位 | 長野県 | 676.9万円 |
5位 | 青森県 | 661.6万円 |
全体の平均年収が580.5万円であることを考えると山口県と福島県の700万円越えはすごいですね!
下位 | 都道府県 | 平均年収 |
47位 | 沖縄県 | 461.5万円 |
46位 | 大分県 | 479.1万円 |
45位 | 岡山県 | 505.5万円 |
44位 | 東京都 | 508.1万円 |
43位 | 鹿児島県 | 519.5万円 |
逆に沖縄県と大分県は500万円を切ってしまっています。
1位の山口県と最下位の沖縄県の平均年収の差はなんと318.5万円!!
もう少しで初任給に届きそうな金額です。
薬剤師として働く際に、年収を気にするのであれば「どこで働くか」が大切だということがわかりますね。
さて、ここまでに薬剤師の年収に関するデータを見てどう感じましたか?
意外と悪くない?いざとなったら年収の多い県に行けばいい?
薬剤師の平均年収は世の中の平均年収より高く、就職に関してもしやすい環境にあります。
そういう意味では薬剤師という職業は恵まれていると思いますし、世間からもそう言われています。
ですが、本当にそうでしょうか?
薬剤師国家試験を受けるためには少なくとも6年間大学に通わなければいけません。
大学が国公立であれば6年間の学費は約350万円ですが、私立大学の場合、6年間の学費は約1,200万円です!
自宅から離れた大学に進学した場合は、これに生活費が加わるわけですから薬学部に通い、薬剤師免許を取得するためには場合2000万円近いお金がかかる場合もあるということになります。
そのため、奨学金を借りている学生も多くなっており、奨学金については就職後に返済していかなければなりません。
実際に、奨キャリを利用している薬剤師・薬学生のうち67%の方が奨学金を利用しており、薬学生に限定すると81%の方が奨学金を利用しています。
では奨学金を利用している方はどの程度の金額を借り入れているのでしょうか?
奨キャリ薬剤師に登録している方の情報をまとめてみます。
このように1000万円以上の奨学金を借りている人は3割、600万円を超している方が半数以上(65%)を占めていることがわかります。
では、次に月々の返済(予定)額についてまとめてみます。
実に13%以上の方が毎月5万円以上の返済を行わなければならず、毎月3万円以上の返済を行う方は49%で約半数となります。
もう一つ気になるのは給料の手取り金額です。
年齢層 | 平均年収 | 手取り金額 |
20~24歳 | 378.4万円 | 264.9万〜302.7万円 |
25~29歳 | 473.3万円 | 331.31万〜378.64万円 |
30~34歳 | 547.0万円 | 382.9万〜437.6万円 |
ここから生活費を払いつつ奨学金を返していくことを考えると、新卒者にとってはかなりの負担になることがわかると思います。奨学金を返済しつつ、将来に備えての貯金をしていこうとすると、少しでも多い給与をもらえるよう努力する必要があります。
あわせて奨学金返済支援制度を利用することもお勧めします。
記事中で紹介している奨学金返済制度を利用することで税金の軽減を行うことができ、結果として単純に給与を上げた場合よりも手取り金額を多くすることができます。
制度を利用して増えた分を貯蓄や投資に回すことで、将来設計に幅を持たせることが可能となります。
奨キャリ薬剤師(株式会社Crono)は「奨学金返済制度」の利用推進を得意としているエージェントになります。また、奨学金を扱うゆえに「初回転職」にも強くなっていますので、奨学金のことで悩んでいる方は↑上記リンクから是非相談してみてください!
皆さんは年収を上げるために何が必要だと考えますか?
どちらも当たっているかもしれませんが、少し違います。
年収を上げるために必要なことは、経営者(雇用者)にとって必要な薬剤師となることです。
それでは、会社から評価され、必要とされる薬剤師とはどんな存在でしょうか?
長くなってしまったので、詳しい話は次回以降の連載の中で解説したいと思います。
奨キャリ薬剤師(株式会社Crono)では、この秘訣をを探るためのオンラインセミナーを開催しています。
会社から信頼される薬剤師=エース薬剤師として活躍するお二人を招いて、「成長する薬剤師」の仕事と年収を大解剖しました!
今後もエース薬剤師の仕事と年収を赤裸々に語るイベントを提供していきます!
今回の記事はここまでです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。